絵本作家を目指して8年前からコンテストに挑戦しています。落選した作品が増えてきて、このままお蔵入りではもったいないので、誰かに読んでもらいたいと思います。2015年講談社絵本新人賞に応募して落選した作品「モナリザさんのリフレッシュ」です。どうぞ読んでくださいね。
昔の天才と呼ばれた人の中には、とんでもない作品を生み出した人がいる。そう、それはレオナルド・ダ・ビンチ。彼の最高傑作モナリザ。その微笑みは今もなお謎につつまれたまま。
ここは美術館です。ある日の休館日2人の職員が作品の点検をしています。「最近モナリザの様子が変なんだよ。顔色が悪いと言うか」「モナリザは先月、クリーニングしました。」
「そうか、じゃあ照明のせいかな?」「違うのよ」と誰かの声がして…
二人はびっくりしました。振り向くとモナリザさんでした。
「そりゃあね、この顔で有名になったのだから気に入ってはいるのよ。でもね、一度でいいから思いっきり笑ってみたくなってしまったの。だってひどいのよ、レオナルドったら…」そう言ってモナリザさんは、昔の話を始めました。どうやらレオナルド・ダ・ビンチがモナリザを描いている時のようです。
「帽子、洗濯したら、縮んでしまったのじゃ。気に入っていたのに。」
なにあれ 帽子?
絶対に笑っては いけないの わたしはモデル なのだから
ずっと笑いたいのを我慢してきたモナリザさん。どうやらリフレッシュが必要のようです。みんなで相談して、次の休館日 モナリザさんを遊園地に連れ出すことにしました。
モナリザさんのために洋服と靴も用意しました。
「まあ、違います違います モナリザさん、それはケープではなくてスカートですよ。」無事に着替えがおわったら、いよいよ遊園地へ出発です。
モナリザさんは色々な乗り物に乗って遊びました。
夜には落語も楽しみました。モナリザさんは今日一日、とてもたくさん笑いました。
そして満足したモナリザさんは、絵の中に帰っていきました。
ところが、それからというもの モナリザさんは時々、職員を呼び止めては「ねえ ねえ、またちょっとだけ笑わせて、ちょっとだけでいいのよ。」と言うのです。
ですから、みんなであれこれ考えるのが、少しだけ大変だったりします。
美術館のお仕事は、とても大変です。休館日でも休んではいられません。でもなんだか楽しそうですね。